こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。 唐物語『王子戍、戴安道を訪ぬる語』の口語訳&品詞分解です。
唐物語は中国の故事を翻案して歌物語の形式にした説話集です。 王子戍、戴安道、どちらも人の名前です。 ぜひ定期テスト対策にお役立てください!
✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 ✿
唐物語『王子戍、戴安道を訪ぬる語』
昔、王子戍、山陰といふ所に住みけり。 昔、王子戍が、山陰という所に住んでいた。
世の中のわたらひにほだされずして、 世を渡り、生活していくための雑事に煩わされないで、
ただ春の花・秋の月にのみ心をすましつつ、多くの年月を送りけり。 ただ春の花や秋の月にばかり心を寄せ続け、多くの年月を過ごしていた。
ことにふれて情け深き人なりければ、 何かにつけて情趣を深く感じ取る人であったので、
かき曇り降る雪初めて晴れ、月の光清くすさまじき夜、 空を暗くして降っていた雪がようやく上がり、月の光が美しく荒涼としている夜に、
一人起きゐて、慰めがたくやおぼえけむ、 一人起きて座して、(風流の思いが)慰めがたく思われたのだろうか、
高瀬舟に棹さしつつ、心にまかせて戴安道を訪ね行くに、 川舟に棹さしながら、心の赴くままに戴安道を訪ねて行くと、
道のほどはるかにて、夜も明け月も傾きぬるを、 道のりがはるかに遠くて、夜も明け月も傾いてしまったので、
本意ならずや思ひけむ、かくとも言はで、 本来の思いがかなわないと思ったのだろうか、このように(訪ねて来た)とも告げずに、
門のもとより立ち帰りけるを、 (戴安道の家の)門のあたりから立ち帰ったのを、
「いかに。」と問ふ人ありければ、 「どうして(声もかけずに帰ってしまうのですか)。」と問う人がいたので、
もろともに 月見むとこそ 急ぎつれ 必ず人に 会はむものかは
戴安道と一緒に月を見ようと思って急いだのだ。
(しかし、もはや月を見ることはかなわず、こうなった今は)
必ずしもその人に会うことがあろうか、いや、その必要はない。
とばかり言ひて、つひに帰りぬ。心のすきたるほどはこれにて思ひ知るべし。 とだけ言って、とうとう帰ってしまった。風流に打ち込んでいる程度はこれでわかるだろう。
戴安道は剡県といふ所に住みけり。この人の年ごろの友なり。 戴安道は剡県という所に住んでいた。この王子戍の長年の友人である。
同じさまに心をすましたる人にてなむ侍りける。 同じように風流に心を打ち込んでいる人でした。
※ 品詞分解はこちら →唐物語『王子戍、戴安道を訪ぬる語』
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