こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。
うたたね『出家の決意』の口語訳&品詞分解です。
うたたねは阿仏尼による日記文学で、鎌倉前期の成立です。
本日は後半部分です。ぜひテスト対策にお役立てください。
✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 ✿
うたたね『出家の決意』
ただ今も出でぬべき心地して、やをら端を開けたれば、
今すぐにでも(邸を)出てしまおうという気がして、そっと縁先の妻戸を開けたところ、
恂日ごろの月なき空に雨雲さへ立ち重なりて、いともの恐ろしう暗きに、
月末ごろの月のない空に雨雲まで立ちこめて、たいそう恐ろしく暗い上に、
夜もまだ深きに、宿直人さへ折しも
夜もまだ深いときに、宿直人までちょうど折も折、
うち声づくろふもむつかしと聞きゐたるに、
改まった声で警護の合図をするのも煩わしく聞いていると、
かくても人にや見つけられんとそら恐ろしければ、
こうしていても人に見つけられるかもしれないと何となく恐ろしいので、
もとのやうに入りて臥しぬれど、かたはらなる人、うち身じろきだにせず。
もとのように(部屋に)入って横になったが、そばにいる人は、わずかな身動きさえしない。
先々も宿直人の夜深く門を開けて出づるならひなりければ、
これまでも宿直人は夜が暗いうちに門を開けて出て行く習慣であったから、
そのほどを人知れず待つに、今宵しもとく開けて出でぬる音すれば。
そのころを人知れず待っていると、今夜は特に早く開けて出て行った音がするので(、私もそっと部屋を滑り出た)。
さるは、心ざす道もはかばかしくもおぼえず。
そうはいうものの、目ざす場所への道もはっきりとは覚えていない。
ここも都にはあらず、北山の麓といふ所なれば、人目しげからず。
ここも都の内ではなく、北山の麓という所であるから、人目も多くない。
木の葉の陰につきて、夢のやうに見置きし山路をただ一人行く心地、
木陰を伝って、かすかに見覚えていた山路をただ一人行く心地は、
いといたくあやふくもの恐ろしかりける。山人の目にもとがめぬままに、
全くひどく危険で恐ろしかったよ。山里の人の目にも怪しまれないままに、
あやしくものぐるほしき姿したるも、すべてうつつのことともおぼえず。
異様で何かにつかれたような姿をしているのも、全く現実のこととも思われない。
さても、かの所、西山の麓なれば、いとはるかなるに、
ところで、あの場所〔目ざす尼寺〕は、西山の麓なので、たいそう遠い上に、
夜中より降り出でつる雨の、明くるままに、しほしほと濡るるほどになりぬ。
夜中から降り出した雨が、夜が明けるにつれて、(衣も)じっとりと濡れるくらいになった。
ふるさとより嵯峨のわたりまでは、
住み慣れた北山の麓から嵯峨のあたりまでは、
少しも隔たらず見渡さるるほどの道なれば、さはりなく行き着きぬ。
少しもさえぎるものなく見渡すことができるほどの道であるから、支障なく行き着いた。
※ 品詞分解はこちら
→うたたね『出家の決意』(後半)
古文:現代語訳/品詞分解全てのリストはこちら⇒https://www.prep.kec.ne.jp/blog/28470
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