定期テスト対策_古典_義経記_口語訳&品詞分解

こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。
義経記『如意の渡りにて義経を弁慶打ち奉る事』の口語訳&品詞分解です。

とても有名なシーンですね。
ぜひテスト対策にお役立てください。

✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 

義経記『如意の渡りにて義経を弁慶打ち奉る事』

それより倶利伽羅を越え、平家亡びし所にて弔ひの経を読み、
そこから倶利伽羅峠を越え、平家が敗れた所で弔いの経を読み、

如意の渡りの舟に乗らんとし給ふところに、渡し守の権頭申しけるは、
如意の渡し場の舟に乗ろうとなさるところに、渡し守の権頭が申したことには、

「しばらく客僧御待ち候へ。山伏の五人三人なりとも、
「しばし旅の僧よ、お待ちなさい。山伏の五人や三人であっても、

役所へ伺ひ申さで通すべからずとの御法にて候ふぞ。
関所に指示を仰ぎ申し上げずに通してはならないというお定めでありますぞ。

ことに十六人まで御入り候へば、
特に(あなた方は)十六人までも(の大人数で)おいででございますので、

尋ね申さでは渡し申すまじく候ふ。」由、
(素性を)お尋ね申し上げずにはお渡し申し上げることはできません。」ということを、

荒らかに申しければ、武蔵坊、渡し守をにらみつつ、
荒々しく申したので、武蔵坊〔弁慶〕は、渡し守をにらみながら、

「さりとも、この北陸道にて、
「そうであったとしても、この北陸道で、

羽黒の讃岐阿闍梨見知らぬ者やあるべき。」
羽黒の讃岐阿闍梨を見知っていない者があるだろうか、いや、きっとみなが知っているはずだ。」

と言ひければ、中乗りしたる男、弁慶をつくづくとまぼり、
と言ったところ、(舟の)中央に乗っている男が、弁慶をじっと見つめ、

「げにげに見参らせたるやうに候ふ。
「なるほど本当に(以前にあなた様のお顔を)拝見したようでございます。

一昨年も三十講の御幣とて、
一昨年も三十講の(法会に使った)御幣と言って、

申し下し給ひし御坊にてましますや。」
(神仏に)申し受けて(私に)お与えくださったお坊様でいらっしゃいますか。」

と申しければ、弁慶力を得て、
と申したので、弁慶は活気づいて、

「さてもかしこく見覚えられたり。
「それにしてもまあよく(私の顔を)覚えていらっしゃった。

あら恐ろしの人や。」とほめける。渡し守の権頭、
ああたいした人だなあ。」とほめた。渡し守の権頭は、

「小賢しきこと申すかな。さやうに見知りたらば、
「差し出がましいことを申すなあ。そのように(この僧を)見知っているのなら、

御辺渡し候へ。」と申せば、弁慶、
あなたが(この人たちを)渡しなされ。」と申すので、弁慶は、

「そもそも判官殿と知りたらば、
「いったい(あなたが)判官殿だとわかっているなら、

確かに指してのたまへ。」と言ひければ、
(この中の誰なのか)はっきりと指さしておっしゃい。」と言ったところ、

「まさしくあの客僧こそ判官殿にておはしけれ。」
(渡し守の権頭は)「間違いなくあの旅の僧が判官殿でいらっしゃる。」

と指してぞ申しける。そのとき弁慶、
と(義経を)指さして申した。そのとき弁慶は、

「あれは白山より連れたる御坊なり。
「あれは白山から連れて来たお坊様である。

年若きにより人怪しめ申す無念さよ。
年が若いことによって人が不審に思い申し上げるのが残念なことよ。

これより白山へ戻り候へ。」とて、舟より引き下ろし、
ここから白山に戻りなさい。」と言って、(義経を)舟から引きずり降ろし、

扇にて散々にこき伏せたり。そのとき渡し守、
扇でひどく打ちのめした。そのとき渡し守は、

「羽黒山伏ほど情けなき者はなし。
「羽黒山伏ほど非情な者はいない。

判官殿にてましまさずは、さにてこそあるべきよ。
判官殿でいらっしゃらないなら、確かにそうであるのだろうよ。

かほどいたはしげもなく、散々に当たり申されしこと、
これほど手加減する様子もなく、ひどく当たり申し上げなさったことは、

しかしながら私が打ち申したるなり。
つまりは私がお打ち申し上げたの(と同じこと)である。

御いたはしくこそ候へ。」とて、舟を寄せ、
たいへんお気の毒でいらっしゃいます。」と言って、舟を寄せ、

「ここへ召し候へ。」とて、楫取りのそばに乗せ奉る。
(義経に)「ここにお乗りなさい。」と言って、船頭のそばにお乗せ申し上げる。

「さらば、船賃出だして渡り候へ。」と申しければ、弁慶、
「それでは、船賃を出して渡りなさい。」と(渡し守が)申したので、弁慶は、

「いつの習ひに山伏の関船賃なすことやある。」
「いつ(から)の習慣で山伏が関所の通行料や渡し舟の代金を払うことがあるか、いや、払わなくてよいはずだ。」

と言ひければ、「日ごろ取りたることなけれども、
と言ったので、「いつもは取ったことはないけれども、

あまりに御坊の腹あしく渡り候へば。」と申す。
あまりにもお坊様が意地悪でいらっしゃいますので(取るのです)。」と申す。

弁慶、「かやうに我らに当たらば、
弁慶は、「このように我々に(つらく)当たるのなら、

出羽の国へ今年明年にこの国の者越えぬことはよもあらじ、
出羽の国へ今年や来年にこの国の者が(国境を越えて)出かけないことはまさかないだろう、

坂田の渡りは、このをさなき人の父、坂田次郎殿の知行なり、
坂田の渡し場は、この若い人の父、坂田次郎殿が治める所である、

ただ今この返礼すべきものを。」
(この国の者がそこを通ったら)すぐさまこの仕返しをしようになあ(、それでもよいのか)。」

とぞ脅しける。あまりに言ひ立てられて渡しけり。
と脅かした。あまりにも言い張られたので(渡し守は無賃で)渡した。

かくて六道寺の渡りをして、弁慶、判官殿の御袖をひかへ、
こうして六道寺の渡しを越えて、弁慶は、判官殿のお袖をとらえ、

「いつまで君をかばひ申さんとて、
「いつまであなた様をお守り申し上げようとして、

現在の御主を打ち奉りつるぞ。天の恐れも恐ろしや。
正真正銘のご主君を打ち申し上げてしまうのか。天罰も恐ろしいことよ。

八幡大菩薩も許し御納受し給へ。」とて、
八幡大菩薩も(私の不忠を)許して(祈りを)お聞き入れなさいませ。」と言って、

さしも猛き弁慶、さめざめと泣きけり。余の人々も涙を流しけり。
あれほど勇猛な弁慶が、さめざめと(涙を流して)泣いた。他の人々も涙を流した。

※ 品詞分解はこちら
義経記『如意の渡りにて義経を弁慶打ち奉る事』

 

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