定期テスト対策_古典_癇癖談_口語訳&品詞分解

こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。
癇癖談の口語訳&品詞分解です。
癇癖談(かんぺきだん)は近世後期上田秋成によって書かれた戯文小説です。

ぜひテスト対策にお役立てください。

✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 

癇癖談「当代の流行」

世にはやるといふことどもを見聞くに、
世間で流行するというものを見たり聞いたりするにつけても、

道々しきにも、芸能にも、よきことのみ行はるるにはあらで、
学問の方面でも、芸能の方面でも、立派な本物だけがはやるのではなくて、

おほかたがなしやすく、学びやすきことの、まづはやるなりけり。
世間一般がやりやすく、学びやすいことが、まず流行するのであるよ。

さりとて、また、あしきことのみ行はるると言ふにはあらず。
かといって、また、悪いことだけがはやると言うのではない。

人のうたてがること、はたよしと言ふにもあらず。
人のいやがることを、またよいと言うわけでもない。

至りてのわざは、まねやすからず、
最高の極意は、まねすることが難しく、

行ひがたしとは、昔々の人の言ひしぞかし。
実践することも難しいとは、ずっと昔の人が言ったのだねえ。

儒者といへども、昔ありしは、ひたすら実体にて、
学者といっても、昔いた者は、ただただ誠実で正直であって、

頼もしかりしを、今はさる師はよにまれにて、
頼りになったが、今はそのような学者は本当にまれであって、

詩文はなばなしく作りもて、手など風流に書きすさび、
詩文を華美に作り出して、文字なども風流めいて書き興じ、

酒をかしく酌み遊ぶもとへは、人あまた集まれり。
酒を愉快に酌み交わして遊ぶ人の所には、門人が大勢集まって来る。

仏の道にも、よにありがたき人は、山に籠りて現れず、
仏道の方面でも、よにまれな(徳の高い)僧は、山に籠って人前に現れず、

亭主ぶりよく、疎きをとぶらふ言葉にもうれしと思はせ、
客扱いがうまく、参詣がとだえがちな人に様子を尋ねる言葉にも(相手に)うれしいと思わせ、

もの清く調じて食はせ、今の世の茶の湯もて、
食べ物をこぎれいに調理して食べさせ、当世(の流行)の茶の湯を開いて、

呼び呼ばれ、よろづに愛敬づきたらんには、
呼んだり呼ばれたりして、万事につけ愛想のよいような人の所には、

まづ詣づるなり。翁・姥らとても、
(信者たちも)まず参詣するのである。老翁や老婆たちといっても、

さる方にひとたび参りては、若き人の遊所に通ひそめしに等しく、
そのような所に一度参詣すると、若者が色里に通い初めたのと同じように、

あはれ一日も怠らじと思ひしめるぞかし。
ああなんとかして一日も怠ることがないように(通い続けよう)と思いこむのだねえ。

また、男・女の髪の風、廱の飾り、衣の色合ひこそ、
また、男・女の髪形や、廱飾り、衣服の色合いは、

昨日の鶸茶は今日の栗皮色、都のは吾妻に移り、
昨日までの鶸茶(の流行)が今日の栗皮色(になり)、京都の流行は江戸に移り、

吾妻のは浪華に移し来るも、あら忙しの世にもあるかな。
江戸の流行は大坂に移って来るのも、ああ忙しい世の中であるなあ。

人の心ばかり頼まれぬものはあらじかし。
人の心ほどあてにならないものはあるまいよ。

白茶、浅葱、鼠などの、眠り目なるをさへ、
白茶、浅葱、鼠などの、眠そうな(くすんで目立たない)色合いをさえ、

はなやかなりと見し世も目の当たりなりしを、いつしか、
華やかだと見ていた世の中もつい最近であったのに、いつの間にやら、

萌黄、瑠璃紺、紅かけ花色の、深きにうつろひゆけり。
萌黄、瑠璃紺、紅かけ花色の、深い色調に移り変わっていった。

古き翁たちの、ひたすら昔を忍ぶげにて、
昔気質の老翁たちが、一途に昔を懐かしむ様子で、

羽織の丈、小袖の仕立て、紋の大きさ、
羽織の丈や小袖の仕立て方、紋の大きさを、

いささかも今に移らじとするも、それはた、
少しも当世ふうに移るまいとするのも、それもやはり、

おのが若き昔の浮きたるはやりごととは思ひ知らぬぞかし。
自分が若かった昔の浮ついていた流行(に固執している)とは悟っていないのだねえ。

また、新曲などとて、糸に合はするも、
また、新しい曲などといって、三味線に合わせる歌も、

よき人の心尽くしせしは、「あな屈したりや。」
心得のある人が苦心して作った曲は、「ああ気がめいってしまうよ。」

など言ひて、人興ぜず、唱歌続かず。
などと言って、人はおもしろがらないし、楽器に合わせて歌うことも続かない。

あまりなるまでざればみて、何の心もなきが、
あまりなまでにふざけて、何の深みもない曲のほうが、

遠き田舎の果て果てまで、歌ひはやせるなりけり。
遠い田舎の辺境まで、歌いはやすものなのだなあ。

何事にもあれ、しばしはやりもて騒ぐことの、
何事であっても、一時的に流行しもてはやすことで、

あさはかならぬはあらじものを。
浅はかでないことはないだろうになあ。

※ 品詞分解はこちら
癇癖談「当代の流行」

 

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