定期テスト対策_古典_雨月物語_口語訳&品詞分解

こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。
雨月物語の口語訳&品詞分解です。

雨月物語」は上田秋成による江戸時代後期読本です。
今回も前後半に分けて紹介します。
ぜひテスト対策にお役立てください。

✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 

雨月物語「浅茅が宿」

妻涙をとどめて、「一たび離れ参らせてのち、
妻は涙を抑えて、「(あなたが出発なさった)あのときお別れ申し上げてから、

たのむの秋より先に、恐ろしき世の中となりて、
再会を頼みにせよとおっしゃった秋より前に、恐ろしい(戦乱の)世の中になって、

里人はみな家を捨てて、海に漂ひ、山に隠れば、
里人はみな家を捨てて、海に漂い、山に隠れたので、

たまたまに残りたる人は、多く虎狼の心ありて、
まれに里に残った人は、多くは恐ろしい心の持ち主で、

かく寡となりしをたよりよしとや、
(女の私が)こうして独り住まいになったのを好都合と思ったか、

言葉を巧みていざなへども、
言葉巧みに言い寄ってきたが、

玉と砕けても
(私は)たとえ玉と砕け散っても〔貞節を守って死ぬことになっても〕、

瓦の全きにはならはじものをと、
汚れた瓦のように〔不義をして生き恥をさらして〕生き長らえることはするまいよと思って、

幾たびか辛苦を忍びぬる。
(いったい)幾度辛苦に耐えてきたことか。

銀河秋を告ぐれども、君は帰り給はず。
天の川が(くっきり見えて)秋を告げるが、あなたはお帰りにならない。

冬を待ち、春を迎へても消息なし。
冬を待ち、春を迎えても何の連絡もない。

今は京に上りて尋ね参らせんと思ひしかど、
こうなったら京へ上って(あなたを)お訪ねしようと思ったが、

丈夫さへ許さざる関の鎖しを、
男性でさえ通行を許さない(厳しい)関所の守りを、

いかで女の越ゆべき道もあらじと、
どうして女の私が越えることのできる道もあろうか、いや、ないだろうとあきらめて、

軒端のまつにかひなき宿に、
軒端の松を眺めて待っても甲斐のないこの家で、

狐・ふくろふを友として、今日までは過ごしぬ。
狐やふくろうを友として、今日までは(むなしく)過ごしました。

今は長き恨みも晴れ晴れとなりぬることの、
(こうして再会できた)今は長年の恨みも晴れ晴れとなってしまいましたことが

うれしく侍り。哮ふを待つ間に恋ひ死なんは、
うれしくてなりません。再会を待ち続ける間に恋い焦がれて死んでしまえば、

人知らぬ恨みなるべし。」と、
(それこそ古歌にいう『人知れず』『恋ひ死』ぬことになって、何のために命を捨てたのかと)
あなたが知らないことへの恨みだけが残ることになりましょう。」と言って、

またよよと泣くを、「夜こそ短きに。」
またよよと泣くのを、(勝四郎は)「(夏の)夜は短いから。」

と言ひ慰めて、ともに臥しぬ。
と言って(妻を)慰めて、夫婦はともに床についた。

窓の紙松風を啜りて、夜もすがら涼しきに、
窓障子の破れが松風を吸い込んで、夜どおし涼しいのに加えて、

途の長手に労れ、うまく寝ねたり。
長旅に疲れたのもあって、ぐっすりと眠った。

五更の天明けゆくころ、
(夜明け近い)午前四時から六時ごろの空が明るくなるころ、

現なき心にもすずろに寒かりければ、
夢うつつの心地にも何やら寒いと感じたので、

衾かづかんと探る手に、何物にや、
夜着をかぶろうとして手探りする手に、(布団はなく)何であろうか(、何やら触れて)、

さやさやと音するに、目覚めぬ。
さやさやと音がするので、目が覚めた。

顔に冷や冷やともののこぼるるを、
顔に冷たいものがしたたるのを、

雨や漏りぬるかと見れば、屋根は風にまくられてあれば、
雨が漏ったかなと思って見上げると、屋根は風にめくり取られているので、

有明月の白みて残りたるも見ゆ。
有明月が空に白く残っているのも見える。

家は扉もあるやなし。
家は板戸も形ばかりで、ないも同然である。

簀噐朽ち發れたるひまより、荻・薄高く生ひ出でて、
簀噐の床が朽ち果てている隙間から、荻や薄が高く生え出して、

朝露うちこぼるるに、袖ひぢてしぼるばかりなり。
朝露が葉からこぼれ落ちるので、袖は濡れてしぼるほどである。

壁には蔦・葛はひかかり、庭は葎に埋もれて、
壁には蔦や葛がはいかかり、庭は葎でびっしり覆われて、

秋ならねども野らなる宿なりけり。
秋ではないのに秋の野原さながらの廃墟であったのだよ。

さてしも、臥したる妻は、いづち行きけん、見えず。
それにしても、ともに臥していた妻は、どこへ行ったのだろうか、姿が見えない。

狐などのしわざにやと思へば、
狐などのしわざ(で、私がだまされたの)かと思って見ると、

かく荒れ果てぬれど、もと住みし家にたがはで、
こんなに荒れ果ててしまったものの、(ここは確かに)もと自分の住んだ家に違いなくて、

広く造りなせし奥わたりより、端の方、
ことさら広く造った奧の間あたりから、端のほう、

稲倉まで、好みたるままのさまなり。
稲倉まで、自分が好んだままの形である。

あきれて足の踏み所さへ忘れたるやうなりしが、
呆然として自分の立っている所さえわからないほどであったが、

つらつら思ふに、妻はすでに死りて、
よくよく考えてみると、妻はすでに死んでいて、

今は狐狸の住み替はりて、
今ここは狐狸が住み替わって、

かく野らなる宿となりたれば、あやしき鬼の化して、
このように野原と変わらぬ廃屋になってしまったので、妖怪となって、

ありし形を見せつるにてぞあるべき。
生前の妻の姿を見せたのであるのにちがいない。

もしまた、我を慕ふ魂の帰り来たりて、
あるいはまた、私を慕う妻の魂がこの世に帰って来て、

かたりぬるものか。
(昨夜一夜、私と)言葉を交わしたものか。

思ひしことのつゆたがはざりしよと、
(とすれば、京を出発するとき)思ったことが的中したのだなあと思うと、

さらに涙さへ出でず。
全く涙すら出ない。

わが身一つはもとの身にしてと、
(何もかも変わってしまった、)わが身だけはもとの身のままなのにと思って、

歩みめぐるに、
(廃墟になった旧居の中を)歩き回ってみると、

昔閨房にてありし所の簀子を払ひ、
昔寝所であった所の床板を取り払い、

土を積みて塚とし、雨露を防ぐまうけもあり。
土を盛り上げて墓とし、雨露を防ぐしかけ〔覆い〕もしてある。

夜の霊はここもとよりやと、
昨夜の(私を迎えてくれた)霊はこの墓から(訪れて来たの)かと思って、

恐ろしくもかつなつかし。
恐ろしくもあるが一方では慕わしい。

※ 品詞分解はこちら
雨月物語「浅茅が宿」(前半)

後半はこちらから

古文:現代語訳/品詞分解全リストはこちら⇒https://www.prep.kec.ne.jp/blog/28470

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