定期テスト対策_古典_去来抄_口語訳&品詞分解

こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。
去来抄の口語訳&品詞分解です。

「去来抄」は向井去来による江戸時代中期の俳論書です。
ぜひテスト対策にお役立てください。

✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 

去来抄「下京や」

下京や雪つむ上の夜の雨   凡兆
(京の下町、下京では、しばらく前から降り積もった雪が、家々町々を白く覆っている。そこに今夜は気温も上がり、雨がやわらかに降っていて、)雪の上の夜の雨という風情が、下京の雰囲気に何ともぴったりに感じられることだ。

この句、はじめに冠なし。
この句は、当初初句がなかった。

先師をはじめいろいろと置き侍りて、
先生をはじめ門下の皆々もいろいろと初句を置きまして、

この冠にきはめ給ふ。
(先生が)この「下京や」の初句にお定めになった。

凡兆「あ。」と答へて、いまだ落ち着かず。
凡兆は「はあ。」と答えて、まだ納得のいかない様子である。

先師いはく、「兆、
先生のおっしゃるには、「凡兆よ、

なんぢ手柄にこの冠を置くべし。
おまえは立派な仕事としてこの初句をつけよ。

もしまさるものあらば、
もしこれ以上の句があるなら、

我ふたたび俳諧を言ふべからず。」となり。
私は二度と俳諧を口にしないつもりだ。」とのお言葉だった。

去来いはく、「この五文字のよきことは、
去来の言うには、「この初句のすぐれていることは、

たれたれも知り侍れど、このほかにあるまじとは、
誰もみなわかっていますが、これ以外にないだろうとは、

いかでか知り侍らん。
どうしてわかりましょうか、いや、わからないでしょう。

このこと、他門の人聞き侍らば、
このように議論して定めたことを、他門の人が聞きましたら、

腹いたくいくつも冠置かるべし。
笑止千万に思っていくつもの初句を置かれるだろう。

そのよしと置かるるものは、
他門の人がこれでよいとしてお置きになった句は、

またこなたにはをかしかりなんと、思ひ侍るなり。」
また我々にはきっと変にちがいないと、思うことでしょう。」

※ 品詞分解はこちら
去来抄「下京や」

 

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定期テスト対策_古典_去来抄_口語訳&品詞分解

こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。
去来抄の口語訳&品詞分解です。

「去来抄」は向井去来による江戸時代中期の俳論書です。
ぜひテスト対策にお役立てください。

✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 

去来抄「行く春を」

行く春を 近江の人と 惜しみけり  芭蕉
(古来多くの人々がこの琵琶湖で春の過ぎ去るのを惜しんできたのだが、私もこの湖にいておぼろに霞む景色を眺めては、)春の去るのを、近江の親しい人々と惜しんだことだよ。

先師いはく、「尚白が難に、『近江は丹波にも、
先生がおっしゃるには、「尚白の批判に、『この句の近江は丹波にも、

行く春は行く年にもふるべし。』と言へり。
行く春は行く年にも置き換えられる。』と言っている。

なんぢ、いかが聞き侍るや。」
おまえは、これをどのように聞きましたか。」

去来いはく、「尚白が難、あたらず。
私去来が申すには、「尚白の非難は、正しくありません。

湖水朦朧として春を惜しむにたよりあるべし。
琵琶湖の水面がぼうっと霞んでいて、春を惜しむ心の生まれるのによりどころがあるでしょう。

ことに今日の上に侍る。」と申す。
とくに先生が眼前の景色を見たうえでの今の実感をおよみになったものです。(絶対に一語も動かせません。)」と申した。

先師いはく、「しかり。
先生がおっしゃるには、「そうだよ。

古人もこの国に春を愛すること、
昔の歌人たちもこの近江の国で春の風光を愛したことは、

をさをさ都に劣らざるものを。」
都の人が都の春を愛するのと少しも劣らなかったのになあ。」と。

去来いはく、「この一言心に徹す。
私が申すに、「今の先生の一言は深く心に感銘を与えました。

行く年近江にゐ給はば、
先生が年末に近江にいらっしゃったなら、

いかでかこの感ましまさん。
寒々とした風景に、どうしてこのような感興がお起こりになりましょうか、いや、起こりはしなかったでしょう。

行く春丹波にいまさば、
春の終わりに丹波の山里にいらっしゃったなら、

もとよりこの情浮かぶまじ。
厳しい山の風土に、惜春ののびやかな感情はもちろん浮かばないでしょう。

風光の、人を感動せしむること、
(時と場所に合った)美しい風景が、人を感動させることは、

まことなるかな。」と申す。
(古来多いことですが、)本当なのですね。」と申した。

先師いはく、「なんぢは、去来、
先生がおっしゃるには、「去来よ、おまえは、

ともに風雅を語るべき者なり。」と、
一緒に俳諧について話すに足る者だよ。」とおっしゃって、

ことさらに喜び給ひけり。
格別にお喜びになったのだった。

※ 品詞分解はこちら
去来抄「行く春を」

 

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定期テスト対策_古典_玉勝間_口語訳&品詞分解

こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。
玉勝間の口語訳&品詞分解です。

玉勝間」は江戸時代後期、国学者の本居宣長による随筆です。
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✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 

玉勝間「兼好法師が詞のあげつらひ」

兼好法師が徒然草に、「花は盛りに、
兼好法師の『徒然草』に、「桜の花は満開に咲いているさまだけを、

月はくまなきをのみ見るものかは。」
月は曇りなく照りわたっているさまだけを観賞するものか、いや、そうではない。」

とか言へるは、いかにぞや。いにしへの歌どもに、
とか言っているのは、どんなものだろうか。昔の歌々には、

花は盛りなる、月はくまなきを見たるよりも、
桜の花は満開なのを、月はかげりがないのを観賞した歌よりも、

花のもとには風をかこち、月の夜は雲をいとひ、
花の下では風を嘆き、月の夜には雲を嫌い、

あるは待ち惜しむ心づくしをよめるぞ多くて、
あるいは(桜の花が咲き月が出るのを)待ち、(桜の花が散り月が隠れるのを)惜しむやるせない気持ちをよんだのが多くて、

心深きもことにさる歌に多かるは、
趣が深い歌もとくにそういう歌に多いのは、

みな花は盛りをのどかに見まほしく、
人はみな桜の花は満開をのんびりと観賞したく、

月はくまなからんことを思ふ心のせちなるからこそ、
月はかげりがないということを願う心が切実であるからこそ、

さもえあらぬを嘆きたるなれ。
そうもありえないことを嘆いたのである。

いづこの歌にかは、花に風を待ち、
いったいどこの歌に、桜の花に風(が吹くの)を待ち、

月に雲を願ひたるはあらん。
月に雲(がかかるの)を願ったものがあろうか、いや、ありはしない。

さるを、かの法師が言へるごとくなるは、
それなのに、あの兼好法師が言っているようなことは、

人の心にさかひたる、のちの世のさかしら心の、
人の心情に反している、後世の利口ぶった心から発した、

つくりみやびにして、まことのみやび心にはあらず。
わざと構えた風情であって、本当の風流心ではない。

かの法師が言へることども、このたぐひ多し。
あの兼好法師が言っている言葉は、この種類のものが多い。

みな同じことなり。すべて、
みな同じことである。総じて、

なべての人の願ふ心にたがへるを、
すべての人の願う心情に反しているのを、

みやびとするは、つくりことぞ多かりける。
風流とするのは、わざと作り構えていることが多いのであるよ。

恋に、あへるを喜ぶ歌は心深からで、
恋愛において、恋人と逢ったのを喜ぶ歌は趣が深くなくて、

あはぬを嘆く歌のみ多くして、心深きも、
逢わないのを嘆く歌ばかりが多くて、趣も深いのも、

あひ見んことを願ふからなり。人の心は、
恋人と契りを結ぶことを願うからである。人の心情は、

うれしきことは、さしも深くはおぼえぬものにて、
うれしいことは、それほどにも深くは感じないものであって、

ただ心にかなはぬことぞ、
ただ自分の思うようにいかないことが、

深く身にしみてはおぼゆるわざなれば、すべて、
深く身にしみては感じられるものであるから、いったいに、

うれしきをよめる歌には、心深きは少なくて、
うれしいことをよんだ歌には、趣が深いものが少なくて、

心にかなはぬすぢを悲しみ憂へたるに、
心の満たされないことを悲しみ憂えた歌に、

あはれなるは多きぞかし。さりとて、
しみじみとした情趣があるものが多いのであるよ。だからといって、

わびしく悲しきを、みやびたりとて願はんは、
満たされず悲しいのを、風情があるといって願うとしたらそれは、

人のまことの情ならめや。
人の本心であろうか、いや、本心ではないはずである。

※ 品詞分解はこちら
玉勝間「兼好法師が詞のあげつらひ」

 

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定期テスト対策_古典_玉勝間_口語訳&品詞分解

こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。
玉勝間の口語訳&品詞分解です。

玉勝間」は江戸時代後期、国学者の本居宣長による随筆です。
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✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 

玉勝間「師の説になづまざること」

おのれ古典を説くに、師の説とたがへること多く、
私が古典を解釈するときに、先生の説と違っていることが多く、

師の説のわろきことあるをば、
先生の説がよくないところもあるのを、

わきまへ言ふことも多かるを、
はっきりと違いを見分けて言うことも多いのを、

いとあるまじきことと思ふ人多かんめれど、
全くあってはならないことと思う人が多いようだが、

これすなはちわが師の心にて、常に教へられしは、
これはとりもなおさず私の先生〔賀茂真淵〕の心であって、常にお教えになったことには、

「のちによき考への出で来たらんには、
「のちによい考えが出てきたらそのときには、

必ずしも師の説にたがふとて、なはばかりそ。」となん、
先生の説と違うからといって、(誤りを直すことを)必ずしも遠慮するな。」と、

教へられし。こはいと貴き教へにて、
お教えになった。これはたいそうすぐれた教えであって、

わが師の、よにすぐれ給へる一つなり。
私の先生が、非常にすぐれていらっしゃることの一つである。

おほかた、いにしへを考ふること、
そもそも、古代について考察することは、

さらに一人二人の力もて、
決して一人二人の力でもって、

ことごとく明らめ尽くすべくもあらず。
ことごとく明らかにし尽くすことはできない。

また、よき人の説ならんからに、多くの中には、
また、たとえすぐれた人の説であっても、多くの説の中には、

誤りもなどかなからん。
誤りもどうしてないことがあろうか、いや、あるにちがいない。

必ずわろきこともまじらではえあらず。
必ずよくない説が混じらないではあり得ない。

そのおのが心には、
その(説を立てた)人自身の心には、

「今はいにしへの心ことごとく明らかなり。
「今は古代の精神はすべて明らかだ。

これをおきては、あるべくもあらず。」と、
これ以外には、真実はあるはずもない。」と、

思ひ定めたることも、思ひのほかに、
心を決めていることも、思いのほかに、

また人のことなるよき考へも出で来るわざなり。
また別の人の違ったよい説も出てくるものである。

あまたの手を経るまにまに、先々の考への上を、
多くの研究者の手を経るにつれて、以前の考察の成果を、

なほよく考へきはむるからに、
いっそうよく考え究めるため、

次々に詳しくなりもてゆくわざなれば、師の説なりとて、
次々に詳しくなっていくことであるから、先生の説だからといって、

必ずなづみ守るべきにもあらず。
必ずしもこだわり守らなければならないものではない。

よきあしきを言はず、ひたぶるに古きを守るは、
よい悪いを言わず、一途に古い説を守るのは、

学問の道には言ふかひなきわざなり。
学問の道では話にならない行為である。

また、おのが師などのわろきことを言ひ表すは、
また、自分の先生などのよくないことを言い表すのは、

いともかしこくはあれど、それも言はざれば、
たいそう恐れ多くはあるが、それも言わないでいると、

世の学者その説に惑ひて、長くよきを知る期なし。
世間の学者がその説に迷って、いつまでも正しい説を知るときがない。

師の説なりとして、わろきを知りながら、
先生の説であるからといって、よくないことを知っているのに、

言はずつつみ隠して、よさまにつくろひをらんは、
言わずに包み隠して、よいように格好をつけているようなのは、

ただ師をのみ貴みて、道をば思はざるなり。
ただ先生だけを尊重して、学問の道のことを考えないのである。

※ 品詞分解はこちら
玉勝間「師の説になづまざること」

 

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定期テスト対策_古典_風姿花伝_口語訳&品詞分解

こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。
風姿花伝の口語訳&品詞分解です。

風姿花伝」は能の大成者世阿弥による能楽書です。
父観阿弥の教えに基づいて記されています。
ぜひテスト対策にお役立てください。

✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 

風姿花伝

七歳

一、この芸において、おほかた、七歳をもて初めとす。
一、この申楽の能の芸においては、通常、七歳をもって稽古の初めとする。

このころの能の稽古、必ず、
この年頃の能の稽古は、必ず、

そのもの自然とし出だすことに、得たる風体あるべし。
本人がたくまずに演じるしぐさに、生まれつき身についた芸風があるはずである。

舞・働きの間、音曲、
舞や所作の中、謡の中(はもとより)、

もしくは怒れることなどにてもあれ、
あるいは怒り狂う演技の中などであっても、

ふとし出ださんかかりを、うち任せて、
自然にやり出すような趣のある姿を、干渉せずに、

心のままにせさすべし。
(当人の)自由にやらせるのがよい。

さのみに、よきあしきとは教ふべからず。
あまりに(細かく)、よい・悪いと教えないほうがよい。

あまりにいたく諫むれば、童は気を失ひて、
あまりに厳しく注意を与えると、きまって子供はやる気をなくして、

能、ものくさくなりたちぬれば、やがて能はとまるなり。
能に、嫌気がさしてきてしまうので、そのまま能の進歩・上達は止まるのである。

十二、三より

この年のころよりは、はや、やうやう声も調子にかかり、
この十二、三歳のころからは、もう、だんだんと声も音階に合うようになり、

能も心づくころなれば、次第次第に物数をも教ふべし。
能もわかってくるころであるから、順を追って能の技術や曲目の数々も教えるのがよい。

まづ、童形なれば、何としたるも幽玄なり。
まず、(この時期は)稚児姿だから、どんな演じ方をしても優雅で美しい。

声も立つころなり。二つのたよりあれば、
声も引き立つ年頃である。(姿と声と)この二つの利点があるから、

わろきことは隠れ、よきことはいよいよ花めけり。
欠点は隠れ、長所はいっそう美しく引き立っている。

おほかた、児の申楽に、
一般的には、元服前の少年の演ずる申楽に、

さのみに細かなる物まねなどは、せさすべからず。
それほどに細かい演技などは、させないほうがよい。

当座も似合はず、能も上がらぬ相なり。
その場そのときの見た目にも似合わないし、能も上達しない結果になることが目に見えているのである。

二十四、五

このころ、一期の芸能の定まる初めなり。
この二十四、五歳のころは、一生を貫く芸能が確立する第一歩である。

さるほどに、稽古の境なり。
だから、稽古に専心する方向へ転ずる時である。

声もすでに直り、体も定まる時分なり。
(十七、八歳の変声期の)声もすっかり回復し、体も大人の体に固まる時分である。

されば、この道に二つの果報あり。
さて、この芸能の道に(携わる上で)二つの恵みがある。

声と身なりなり。これ二つは、この時分に定まるなり。
声と体つきである。この二つは、この時分に決まるものである。

年盛りに向かふ芸能の生ずるところなり。
壮年に向かっての芸能が生まれる基盤である。

さるほどに、よそ目にも、すは、
だから、観客の目にも、「さあ、

上手出で来たりとて、人も目に立つるなり。
上手が出現した。」ということで、人も注目するのである。

もと名人などなれども、当座の花に珍しくして、
(競演する場合相手がたとえ)かつての名人などであっても、その場だけの一時的な魅力のために新鮮で、

立合勝負にも、いつたん勝つときは、
競演にも、ひとたび勝つとなるとそのときは、

人も思ひ上げ、主も上手と思ひしむるなり。
世人も実力以上に高く評価し、本人も「自分は上手なのだ。」と思い込んでしまうものである。

これ、返す返す、主のため仇なり。
これは、本当に、当人のために害になるものである。

これも、まことの花にはあらず。
こんなものは、真実の魅力ではない。

年の盛りと、見る人のいつたんの心の珍しき花なり。
年齢的に最高のときと、観客の一時的に感じる珍しい魅力にすぎないのである。

まことの目利きは見分くべし。
本当に批判力をもつ人は(真実の魅力とそうでないものとを)当然見分けるはずである。

このころの花こそ、初心と申すころなるを、
この時期の魅力は、未熟な初心と申す段階であるのに、

きはめたるやうに主の思ひて、はや申楽に側みたる輪説とし、
奥義をきわめたように当人がうぬぼれて、早くも申楽の正道を外れた勝手な言動をし、

至りたる風体をすること、あさましきことなり。
極意をきわめた(達人気取りの)演じ方をすることは、あきれ果てたことである。

たとひ、人もほめ、名人などに勝つとも、
たとえ、人も褒め、(競演で)名人などに勝っても、

これはいつたん珍しき花なりと思ひ悟りて、
これは一時的な珍しさの魅力であるとわきまえて、

いよいよ物まねをもすぐにし定め、
いっそう演技を確実に体得し、

名を得たらん人にことを細かに問ひて、
名人の名を得ているような人にこと細かに問うて、

稽古をいやましにすべし。
稽古をますます重ねるのがよい。

※ 品詞分解はこちら
風姿花伝

 

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定期テスト対策_古典_しのびね物語_口語訳&品詞分解

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しのびね物語の口語訳&品詞分解です。

しのびね物語」は鎌倉前期の擬古物語です。
前回はひそかに出家を決意した中納言が、姫君に別れを告げに行ったのですが、どこかに行くなら自分もつれていけと泣いてすがる姫君をなだめている間に、夜が明けてしまったという場面でした。
ぜひテスト対策にお役立てください。

✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 

しのびね物語『偽りの別れ』

「はしたなくならぬほどに出で侍りて、
「(夜が明けて人に見とがめられて)みっともなくならないうちに(ここを)出まして、

暮れはとく御迎へに参らん。たとへ具し奉るとも、
夕暮れは早くお迎えに参ろう。たとえ(あなたを)お連れ申し上げるとしても、

明かくなればいと見苦しからん。またさりとて、
明るくなるとたいそうみっともないだろう。またそうかといって、

このままあるべきならず。さやうに用意して待ち給へ。」と、
このまま(私がここに)いるのもよくない。抜け出すように準備してお待ちなさい。」と、

まことしく言ひ教へて出で給ふ。
真実らしく言って教えて(中納言は部屋を)お出になる。

馬道まで姫君送り給ふに、心強くは出で給へども、
馬道まで姫君が送りなさるが、(中納言は)気を強く持って(部屋を)お出になるものの、

これを限りとおぼせば、有明月くまなきに、
これが最後とお思いになると、有明の月が曇りなく照らすもとに、

立ちとどまり、「暮れはとく御迎ひに参らんよ。」とて、
立ちとどまり、「夕暮れには早くお迎えに参るつもりだよ。」と言って、

御顔をつくづくと見給へば、いみじう泣きはれたる御顔の、
(姫君の)お顔をつくづくと御覧になると、ひどく泣きはれているお顔は、

いよいよ光るやうに白くうつくしければ、御髪をかきやりて、
ますます(月明かりに)輝くように白く美しいので、(中納言は姫君の)御髪をかきなでて、

「かくもの思はせ奉るべき身となりけん宿世こそ心憂けれ。
「(あなたに)こんなにもの思いをおさせ申し上げなければならない身となった前世からの因縁がとてもつらいことだ。

いかなる昔の契りにて、身もいたづらになりぬる。」
どのような前世からの宿縁によって、わが身もむなしくなってしまうのか。」

などかきくどきつつ、出で給ふ。
などと繰り返し嘆き、出て行かれる。

涙にくれて、さらにいづくへ行くともおぼえ給はず。
(中納言は)涙にくれて、全くどこへ行くともおわかりにならない。

姫君は、この暮れにはとおぼして待ち給ひける、
姫君は、今日の夕暮れには(迎えに来てくださる)とお思いになってお待ちになった、

御心のうちぞはかなかりける。中納言、殿へ参り給へば、
お心のうちはむなしいことであったよ。中納言は、父内大臣邸に参上なさると、

いつよりもはなやかにひきつくろひ給へるを、
いつもよりも華やかに身なりを整えていらっしゃるのを、

殿・母上は、いとうつくしとおぼしたり。
父内大臣殿と母上は、とても立派だとお思いになっている。

親たちに見え奉らんも、ただ今ばかりぞかし、
両親にお目にかかるようなことも、ただもう今だけだよ、

もの思はせ奉らんことの罪深く、いと恐ろしけれど、
(両親を)悲しませ申し上げることが罪深く、たいへん恐ろしいが、

まことの道に入りなば、つひには助け奉らんと、
(自分が)仏道に入ったなら、最後にはお助け申し上げることになるだろうと、

心強くおぼし返す。
(中納言は)心強く思い返しなさる。

若君の、何心なく走りありき給ふぞ、
若君が、無心に走り回っていらっしゃるのが、

目もくれてかなしくおぼさるる。
(涙で)目の前も暗くなって悲しく思われなさる。

わが方へおはして、御身のしたためよくして、
(中納言は)自分の部屋にお入りになって、ご自身の(出家への)準備をよく整えて、

姫君の御方への文書き給ふに、涙のこぼれ出でて、
姫君の御方への手紙をお書きになるが、涙がこぼれ出て、

文字も見えず。
(書いている)文字もよく見えないほどである。

※ 品詞分解はこちら
しのびね物語「偽りの別れ」(後半)

 

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定期テスト対策_古典_しのびね物語_口語訳&品詞分解

こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。
しのびね物語の口語訳&品詞分解です。

しのびね物語」は鎌倉前期の擬古物語です。
長いので前後半に分けます。
ぜひテスト対策にお役立てください。

✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 

しのびね物語『偽りの別れ』

さて、殿へおはして、ことさらひきつくろひ、
さて、(中納言は)父内大臣の邸へいらっしゃって、格別に身なりを整え、

はなやかに御装束し給ひて、いまひとたび、上をも、
美しく装いなさって、もう一度、帝をも、

またさらぬ人々をも見奉らんとおぼして、参り給へば、
またそれ以外の人々をも拝見したいとお思いになって、参内なさると、

ただ今ばかりと思ふに、涙の落つるを紛らはしつつ、
(帝にお目にかかるのも)もう今だけだと思うと、涙がこぼれるのを紛らわし紛らわして、

候ひ給へば、上は御覧じて、
お控えなさっていると、帝は(中納言を)御覧になって、

「尽きせぬもの思はしさのみこそ心苦しけれ。」
「尽きることのないもの思いをしてばかりいる様子は見ていてつらいことだ。」

と仰せらるれば、「しばしものへ詣づることの侍れば、
「しばらく寺へ詣でることがありますので(都を離れますが)、

やがて帰り侍らん。」と奏し給ふ。
すぐに帰って来ましょう。」と奏上なさる。

「いづくぞ、うらやましくこそ。」とのたまはすれば、
(帝は)「どこへ行くのだ、羨ましいね。」とおっしゃるので、

「鞍馬の方へ。」と奏して、あまり忍びがたければ、
「鞍馬のほうへ。」と申し上げて、あまりにも(涙が)こらえがたかったので、

紛らはしつつ立ち給ふ。上は御覧じて、
紛らわしながらお立ちになる。帝は(中納言を)御覧になって、

「さらば、とく。」と仰せらるるに、
「そういうことならば、早く(戻って参れ)。」とおっしゃるが、

長き別れとしろしめされぬぞ、あはれなる。
(中納言との)永遠の別れとご存じないことが、しみじみと悲しい。

馬道にたたずみ暮らして、かの御局へ紛れ入り給ふ。
馬道にたたずんで日が暮れるまで過ごして、姫君のいるお部屋へ人目につかないようにお入りになる。

世の常の中だにも、別れはかなしかるべきを、
普通の男女さえも、別れは悲しくて当然なのに、

なかなか目もくれて、ものもおぼえず。
(まして姫君との仲は特別な関係であるから、対面すると)かえって目の前が真っ暗になって、どうしてよいかわからない。

「ただ候ひつき給へ。野山の末にても、
「(あなたは)ただいつも帝にお仕えなさいませ。野山の果てにでも、

かやうにて候ひ給ふと聞かば、いとうれしかるべし。
(あなたが)このように帝にお仕えなさっていると聞くならば、(私は)とてもうれしく思うにちがいない。

いかなる方へあくがれ出で給ふとも、
どのような所へ心がさまよい出られたとしても、

女は身を心にまかせぬものにて、
女というものはわが身を思うにまかせないものであって、

思ひのほかなることもまたあらば、いと本意なかるべし。
思いがけないことでもまた生じたならば、全く不本意であろう。

御心となびき奉り給ふと思はばこそ、
(あなたが)ご自分から進んで(帝に)心をお寄せ申し上げなさると思ったら、

恨みもあらめ。
恨みもあろうが(、そうではないので恨みはない)。

今よりは、吾子がことをこそおぼさめ。
今からは、(二人の間に生まれた)わが子のことをお考えになるのがよい。

おとなしくもならば、殿もわが代はりとおぼして、
成長したら、父内大臣も私の代わりとお思いになって、

宮仕ひに出だし立て給はんずらん。さやうのときは、
宮中に出仕させようとなさるだろう。そのようなときは、

御覧じも、または見奉ることもあるべし。
(あなたが若君を)御覧になることも、または(若君があなたを)拝見することもあるだろう。

わが身こそ、ただ今よりほかは、
私自身は、たった今からのちは、

夢ならずして見え奉らじ。」とて、
夢でなくては(あなたに)お目にかかるまい。」と言って、

さめざめと泣き給へば、姫君は、
さめざめとお泣きになるので、姫君は、

「ただいづくまでも、もろともに具しておはせよ。
「ただどこまでも、一緒に連れてお行きなさいませ。

さらに残りとどまらじ。おくらかし給はんが心憂きこと。」
決して(ここに)残りとどまりません。(私をここに)置き去りになさるとはつらいこと。」

と慕ひ給へば、かくてはかなはじとおぼして、
と慕いなさるので、こうしていては(出家の思いは)遂げられないだろうとお思いになって、

「さらば力なし。具し奉るべし。この暮れを待ち給へ。
「それならばしかたがない。お連れ申し上げよう。この夕暮れ(になるの)をお待ちなさい。

参りて、暁にもろともに出で侍らん。
(もう一度)参上して、夜明け前に一緒に(宮中を)出ましょう。

まづただ今はあまりに慌たたしければ、
まずただ今はあまりに慌ただしいので、

いま一度、殿の御顔をも、吾子をも見侍らん。」と、
もう一度、父内大臣のお顔をも、わが子をも見てみようと思います。」と、

いとよくすかし給へば、あやふくて、
よくよくなだめなさると、(姫君は)不安で、

「ただ今、まづいづくまでも具しておはせよ。」とて、
「たった今、まずはどこまでもお連れなさいませ。」と言って、

恥のこともおぼえず、中納言に取りつきて離れ給はねば、
恥のことも考えず、中納言にすがりついて離れなさらないので、

心苦しく、かなしさせん方なくて、
(中納言は)つらく、悲しさはどうしようもなくて、

「すかし奉ることはあるまじ。
「(あなたを)おだまし申し上げることはありません。

いづくまでも身に添ふべきものなれば、
どこまでも肌身離さず持つはずのものなので、

これをとどめ侍らん。」とて、御数珠・扇を置き給ふ。
これを置いておきましょう。」と言って、御数珠と扇を置きとどめなさる。

いとどあやしと思ひ給ひて、せん方なくて泣き給へば、
(姫君は)ますます不審にお思いになって、どうしようもなくてお泣きになるので、

情けなく振り捨てて、いかでか出で給ふべきなれば、
(中納言は)無情に(姫君を)振り捨てて、どうやって出て行きなさることができようか、いや、できないので、

とかくこしらへ給ふほどに、夜も明け方になりぬ。
あれやこれやとなだめなさるうちに、夜も明け方になってしまった。

※ 品詞分解はこちら
しのびね物語「偽りの別れ」(前半)

 

古文:現代語訳/品詞分解全てのリストはこちら⇒https://www.prep.kec.ne.jp/blog/28470

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定期テスト対策_古典_とりかえばや物語_口語訳&品詞分解

こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。
とりかえばや物語の口語訳&品詞分解です。

とりかえばや物語」は平安末期の物語で、作者不明です。
女のような性格の兄と、男のような性格の妹を「とりかえばや(取り替えたいなぁ)」と大納言である父が思ったことからついた題名で、女装した兄(=姫君)と男装した妹(=若君)のお話です。
ぜひテスト対策にお役立てください。

✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 

とりかえばや物語『父大納言の苦悩』

春のつれづれ、御物忌みにてのどやかなる昼つ方、
春の所在ない折、御物忌みで(さしせまった用もなく)のんびりとした昼のころ、

姫君の御方に渡り給へれば、
(大納言が)姫君のお部屋にいらっしゃったところ、

例の御帳のうちに箏の琴を忍びやかに弾きすさび給ふなり。
(姫君は)いつものように御帳台の中で箏の琴をひっそりと気の向くままに弾いていらっしゃるようである。

女房などここかしこに群れゐつつ、
女房などはあちらこちらに集まって座っては、

碁・双六など打ちて、いとつれづれげなり。
碁や双六などを打って、たいそう所在なさそうな様子である。

御几帳押しやりて、「などかくのみ埋もれては。
(大納言は)御几帳を押しやって、「なぜこのように籠ってばかりいらっしゃるのか。

盛りなる花のにほひも御覧ぜよかし。御達などもあまりいぶせく、
満開の桜の花の美しさも御覧なさいよ。女房たちなどもあまりにも気が晴れず、

ものすさまじげに思ひて侍るはや。」とて、
つまらなさそうに思っていますよ。」と言って、

床に押しかかりてゐ給へば、
浜床に寄りかかってお座りになると、

御髪は丈に七、八寸ばかり余りたれば、
(姫君の)御髪は座ったときの背丈より七、八寸ほど長いので、

花薄の穂に出でたる秋のけしきおぼえて、
薄が穂を出している秋の風情が感じられて、

裾つきのなよなよとなびきかかりつつ、
毛先の様子はしなやかになびきかかりながら、

物語に扇を広げたるなど、こちたく言ひたるほどにはあらで、
物語に「扇を広げたよう」などと、おおげさに言っているほどではなくて、

「これこそなつかしかりけれ。いにしへのかぐや姫も、
(大納言は)「これくらいの髪こそが魅力的なのだなあ。昔のかぐや姫も、

け近くめでたき方はかくしもやあらざりけん。」
親しみやすくすばらしいという点ではこれほどでもなかっただろう。」

と見給ふにつけては、目もくれつつ、近く寄り給ひて、
と御覧になるにつけては、目も涙にくれながら、(姫君の)近くにお寄りになって、

「こは、いかでかくのみはなり果て給ふにか。」と、
「これは、どうしてすっかりこんなふうになってしまわれたのだろうか。」とおっしゃって、

涙を一目浮けて御髪をかきやり給へば、
涙を目いっぱいに浮かべて(姫君の)御髪をかき上げなさると、

いと恥づかしげにおぼし入りたる御けしき、汗になりて、
(姫君が)とても恥ずかしそうに思い込んでいらっしゃるご様子は、汗をかいて、

御顔の色は紅梅の咲き出でたるやうににほひつつ、
(上気した)お顔の色は紅梅が咲き出したように赤く色づきながら、

涙も落ちぬべく見ゆる御まみの、いと心苦しげなるに、
涙もこぼれ落ちそうに見えるお目もとが、とてもつらそうなので、

いとど我もこぼれて、
いよいよ(大納言)自身も涙があふれて、

つくづくとことごとなくあはれに見奉り給ふ。
しみじみと他のこと何も考えず(姫君を)いとおしく拝見なさる。

さるは、かたはらいたければ、つくろひ化粧じ給はねど
そうはいっても、(姫君は)きまりが悪いので、化粧して整えていらっしゃらないけれども、

わざともいとよくしたる色合ひなり。
わざわざたいそう念入りに(化粧)しているような(お顔の)色つやである。

御額髪も汗にまろがれて、
御額髪も汗でもつれて丸くなって、

わざとひねりかけたるやうにこぼれかかりつつ、
わざわざひねって癖をつけているように(顔に)垂れかかって、

らうたく愛敬づきたり。「白くおびたたしくしたてたるは、
可憐で愛らしい。(大納言は)「(顔を白粉で)白くたっぷり塗りつけているのは、

いとけうとかりけり。かくてこそ見るべかりけれ。」と見ゆ。
たいそういやな感じなのだなあ。このように(化粧のない素顔で)見るのがよいのだなあ。」と感じられる。

十二におはすれど、かたなりに遅れたるところもなく、
(姫君は)十二歳でいらっしゃるが、未熟で発育が不十分なところもなく、

人柄のそびやかにてなまめかしきさまぞ、限りなきや。
体つきがすらりとして優美な様子は、このうえないよ。

桜の御衣のなよよかなる六つばかりに、
桜襲の袿で、柔らかに着慣らしたのを六枚ほど重ねて、

葡萄染めの織物の袿、
葡萄染めの織物の表着、

あはひにぎははしからぬを着なし給へる、
色の取り合わせが派手でない衣を着こなしていらっしゃるのが、

人柄にもてはやされて、袖口、裾の褄までをかしげなり。
人となりに引き立てられて、袖口や裾の端まで趣ある様子である。

「いで、あさましや。尼などにて、
(大納言は)「いやもう、あきれたことよ。尼などとして、

ひとへにその方の営みにてやかしづき持たらまし。」
ひたすらその方面の修行(をさせること)で世話をしていくのがよいだろうか。」

と見給ふも、くちをしく、涙ぞかきくらされ給ふ。
と御覧になるにつけても、残念で、思わず涙にかきくれていらっしゃる。

いかなりし 昔の罪と 思ふにも この世にいとど ものぞ悲しき
どのような前世における罪業(のためにこんなことになったのか)と思うにつけても、この世でいよいよ悲しい思いをすることだよ。

西の対に渡り給ふに、横笛の声すごく吹き澄ましたなり。
(大納言が)西の対にお渡りになると、横笛をぞっとするほど澄みわたった音色で吹いているようである。

空に響き上りて聞こゆるに、わが心地もそぞろはしく、
(笛の音は)空に響き上るように聞こえるので、(大納言は)自分の気持ちもなんとなく落ち着かず、

「めづらかなり。これもさななり。」と聞き給ふに、
「珍しい音色だ。この笛の音もあの子が吹いているのだろう。」とお聞きになるにつけ、

また心地もかき乱るやうなれど、さりげなくもてなして、
また気持ちもかき乱れるようだが、何気なく振る舞って、

若君の御方をのぞき給へば、うちかしこまりて笛はさし置きつ。
若君のお部屋をおのぞきになると、(若君は)居ずまいを正して笛は置いてしまった。

桜・山吹など、これは色々なるに、
桜襲・山吹襲など、こちらはさまざまな色合いの(袿の)上に、

萌黄の織物の狩衣、葡萄染めの織物の指貫着て、
萌黄色の織物の狩衣、葡萄染めの織物の指貫を着て、

顔はいとふくらかに色あはひいみじうきよらにて、
顔はたいそうふっくらとして色つやがとても美しくて、

まみらうらうじう、いづことなくあざやかににほひ満ちて、
目もとが利発そうで、どことなく際立って気品に満ちて、

愛敬は指貫の裾までこぼれ落ちたるやうなり。
愛らしい魅力は指貫の裾までこぼれ落ちているようである。

見まほしく目もおどろかるるを、うち見るには、
見ていたく目を驚かす美しさを、少し見ると、

落つる涙もものの嘆かしさも忘られてうち笑まるる御さまを、
落ちる涙も嘆かわしい思いも思わず忘れて自然と笑みがこぼれる(若君の)ご様子を、

「あないみじ。これももとの女にてかしづき立てたらんに、
(大納言は)「ああ困ったことだ。この若君も本来の女として大切に育て上げていたら、

いかばかりめでたくうつくしからん。」と胸つぶれて、
どれほどすばらしくかわいらしいだろう。」と胸のつぶれる思いで、

御髪も、これは長さこそ劣りたれ、
御髪も、こちらは長さこそ(姫君に)劣っているけれども、

裾などは扇を広げたらんやうにて、
裾などは扇を広げたようで、

丈に少しはづれたるほどにこぼれかかれる様体、頭つきなど、
座ったときの背丈に少し足りない長さにこぼれかかっている様子や頭の形など、

見るごとに笑まれながらぞ、心のうちはくらさるるや。
見るたびに自然とほほえまれるけれども、(大納言の)心の中はつい暗くなることよ。

いと高き人の子供などあまたゐて、碁・双六打ち、
(若君が)たいそう身分の高い人の子供などをたくさん引き連れて、碁や双六を打ち、

はなやかに笑ひののしり、鞠・小弓など遊ぶも、
にぎやかに笑い騒ぎ、蹴鞠や小弓などで遊ぶのも、

いとさま異にめづらかなり。
たいそう異様で風変わりである。

※ 品詞分解はこちら
とりかえばや物語「父大納言の苦悩」

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定期テスト対策_古典_和泉式部日記_口語訳&品詞分解

こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。
和泉式部日記の口語訳&品詞分解です。

和泉式部日記」は平安時代和泉式部による日記です。
帥宮敦道親王との恋愛模様が和歌を交えて物語風に綴られています。
ぜひテスト対策にお役立てください。

✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 

和泉式部日記『手枕の袖』

十月十日ほどにおはしたり。
十月十日ごろに(宮が)いらっしゃった。

奥は暗くて恐ろしければ、端近くうち臥させ給ひて、
(邸の)奥は暗くて気味が悪いので、(邸の)端に近い所で横におなりになって、

あはれなることの限りのたまはするに、
しみじみと愛情のこもったことをありったけおっしゃるので、

かひなくはあらず。
(女の心にも響き、聞く)かいがないわけではない。

月は曇り曇り、しぐるるほどなり。
月は雲に隠れがちで、時雨が降る折である。

わざとあはれなることの限りを作り出でたるやうなるに、
ことさらにしみじみとした情趣のあることの限りを作り出したようなので、

思ひ乱るる心地はいとそぞろ寒きに、
思い乱れる気持ちは本当にぞっと寒気をおぼえる(ほどである)が、

宮も御覧じて、「人の便なげにのみ言ふを、
(その様子を)宮も御覧になって、「人がけしからぬようにばかり言うが、

あやしきわざかな、ここに、かくてあるよ。」
おかしなことだよ、ここに、こうして〔もの思いに沈んだ様子で〕いるよ。」

などおぼす。あはれにおぼされて、
などとお思いになる。しみじみといとおしく思われなさって、

女寝たるやうにて思ひ乱れて臥したるを、
女が眠っているようにして思い乱れて横になっているのを、

おしおどろかさせ給ひて、
揺り起こしなさって、

しぐれにも 露にもあてで 寝たる夜を あやしく濡るる 手枕の袖
時雨にも露にも当てないで(ともに)寝ている夜(であるの)に、
不思議なことに濡れる手枕の袖よ。(あなたを思う私の涙で濡れているのです。)

とのたまへど、よろづにもののみわりなくおぼえて、
とおっしゃるけれど、何もかもただひたすらどうしようもなくつらく思われて、

御いらへすべき心地もせねば、ものも聞こえで、
お返事をすることができそうな気もしないので、何も申し上げずに、

ただ月影に涙の落つるを、あはれと御覧じて、
ただ月光の下で涙がつたった(女の)姿を、(宮は)いとおしいと御覧になって、

「などいらへもし給はぬ。はかなきこと聞こゆるも、
「どうして返事もなさらないのか。取るに足らないことを申し上げるのも、

心づきなげにこそおぼしたれ。いとほしく。」とのたまはすれば、
不愉快にお思いになっているのだね。気の毒に。」とおっしゃるので、

「いかに侍るにか、心地のかき乱る心地のみして。
「どうしましたの(でしょう)か、気分が乱れる感じばかりがして。

耳にはとまらぬにしも侍らず。
(宮様の歌が)耳に入らないわけではございません。

よし見給へ、手枕の袖忘れ侍る折や侍る。」と、
まあ御覧ください、手枕の袖(という言葉)を忘れます時がございますか(どうかを)。」と、

たはぶれごとに言ひなして、
冗談にとりつくろって言って、

あはれなりつる夜のけしきも、かくのみ言ふほどにや。
このようにばかり言ううちに(明けてしまったのだろうか)。

頼もしき人もなきなめりかしと心苦しくおぼして、
頼りにできる男性もいないのであるようだよと(宮は女を)気の毒にお思いになって、

「今の間いかが。」とのたまはせたれば、御返り、
「今の時間(も)どう(していますか)。」とおっしゃったところ、(女からの)お返事は、

今朝の間に 今は消ぬらむ 夢ばかり ぬると見えつる 手枕の袖
(昨夜のかりそめの逢瀬で、涙で袖が濡れたとおっしゃいましたが、)
今朝のうちにもう(涙は乾いて)消えてしまっているでしょう。
ほんのわずか濡れたと見えた(あなたの)手枕の袖は。
(あなたの私への愛情は、その程度のものでしょう。)

と聞こえたり。「忘れじ。」と言ひつるを、
と申し上げた。「忘れまい。」と(女が)言ったことを(宮は思い出し)、

をかしとおぼして、
趣深いとお思いになって、

夢ばかり 涙にぬると 見つらめど 臥しぞわづらふ 手枕の袖
(あなたは)ほんのわずか涙に濡れると見たようだけれども、
臥すに臥せない(ほど濡れている)のだよ、(私の)手枕の袖は。
(私の愛情は、あなたが思っている以上に深いものなのです。)

※ 品詞分解はこちら
和泉式部日記「手枕の袖」

 

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定期テスト対策_古典_和泉式部日記_口語訳&品詞分解

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和泉式部日記の口語訳&品詞分解です。

和泉式部日記」は平安時代和泉式部による日記です。
帥宮敦道親王との恋愛模様が和歌を交えて物語風に綴られています。

今回の場面では、恋人(為尊親王)の死を悼んでいる作者のもとに、その弟(帥宮敦道親王)から遣いが来て、和歌の交換をし、ここからやり取りが始まっていきます。
ぜひテスト対策にお役立てください。

✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 

和泉式部日記『夢よりもはかなき世の中』

夢よりもはかなき世の中を、
(はかないとされる)夢よりも(なお)はかない男女の仲を、

嘆きわびつつ明かし暮らすほどに、
嘆き悲しみ続けて(夜を)明かし(日を)暮らすうちに、

四月十余日にもなりぬれば、木の下暗がりもてゆく。
四月十日過ぎにもなったので、(葉が茂って)木陰がだんだんと暗くなっていく。

築土の上の草青やかなるも、人はことに目もとどめぬを、
築土の上の草が青々としているのも、他の人はことさら目もとめないけれども、

あはれとながむるほどに、
(私は)しみじみと感慨深いことと思って眺めているときに、

近き透垣のもとに人のけはひすれば、
(母屋に)近い透垣のもとに人の(来た)気配がするので、

たれならむと思ふほどに、
誰であろうと思っていると、

故宮に候ひし小舎人童なりけり。
亡くなった宮様〔為尊親王〕にお仕えしていた小舎人童であったよ。

あはれにもののおぼゆるほどに来たれば、
しみじみともの思いされる(ちょうどその)ときに(童が)やって来たので、

「などか久しく見えざりつる。
「どうして長らく姿を見せなかったのか。

遠ざかる昔の名残にも思ふを。」
(おまえのことを)遠くなる過去の(故宮の思い出の)よすがとも思っているのに。」

など言はすれば、「そのことと候はでは、
などと(取り次ぎの女房に)言わせたところ、「これといった用事がございませんでは、

なれなれしきさまにやと、つつましう候ふうちに、
(お伺いするのも)厚かましいことではなかろうかと、遠慮しておりますうちに、

日ごろは山寺にまかりありきてなむ。
近ごろは山寺(詣で)に出歩き申し上げて(おりまして)。

いと頼りなく、つれづれに思ひ給うらるれば、
全く頼みとするところもなく、所在なく思われますので、

御代はりにも見奉らむとてなむ、
(故宮様の)お身代わりとしてもお世話し申し上げようと思って、

帥の宮に参りて候ふ。」と語る。
(今は)帥の宮様〔敦道親王〕(のもと)に参上しております。」と話す。

「いとよきことにこそあなれ。
「たいそうよい話であるようだね。

その宮は、いとあてに、けけしうおはしますなるは。
その宮様は、とても上品で、親しみにくくていらっしゃるそうだね。

昔のやうにはえしもあらじ。」など言へば、
(おまえも)昔のようではいられないだろう。」などと言うと、

「しかおはしませど、いとけ近くおはしまして、
「そうではいらっしゃるけれど、たいそう親しみやすくていらっしゃって、

『常に参るや。』と問はせおはしまして、
『いつも(あの方〔作者〕のもとへ)参上するのか。』とお尋ねなさって、

『参り侍り。』と申し候ひつれば、
『参上いたします。』と申し上げましたところ、

『これ持て参りて、いかが見給ふとて奉らせよ。』
『これを持参して、どのように御覧になるかと言って(侍女を介して)差し上げさせよ。』

とのたまはせつる。」とて、橘の花を取り出でたれば、
とおっしゃった。」と言って、橘の花を取り出したので、

「昔の人の」と言はれて、
「昔の人の」と思わず口をついて出て(……。そうこうしているうちに)、

「さらば参りなむ。いかが聞こえさすべき。」と言へば、
(童が)「では帰参しよう。(宮様への返事は)どのように申し上げたらよいですか。」と言うので、

言葉にて聞こえさせむもかたはらいたくて、
口頭で申し上げるというのもきまりが悪くて、

「何かは。あだあだしくもまだ聞こえ給はぬを、
「いやなに。(帥の宮様は)浮気だともまだうわさされていらっしゃらないのだから、

はかなきことをも。」と思ひて、
とりとめのないことをも(申し上げて構わないだろう)。」と思って、

薫る香に よそふるよりは ほととぎす 聞かばや同じ 声やしたると
(昔の人を思い出させるという橘の花の)薫る香りにかこつけるよりは、(橘の花と縁の深い)ほととぎす(の声)を聞きたいものです、同じ声をしているかと。
(帥の宮様、亡き兄宮様への追慕の心を誘うようなまわりくどい近づき方よりも、直接お話したいものです。)

と聞こえさせたり。
と申し上げた。

まだ端におはしましけるに、
(帥の宮は)まだ(邸の)縁先にいらっしゃったところ、

この童隠れの方にけしきばみけるけはひを、
この童が物陰のあたりで(せき払いなどをして)合図をした様子を、

御覧じつけて、「いかに。」と問はせ給ふに、
見つけなさって、「どう(であったか)。」とお尋ねなさったので、

御文をさし出でたれば、御覧じて、
(作者からの)お手紙を差し出したところ、御覧になって、

同じ枝に 鳴きつつをりし ほととぎす 声は変はらぬ ものと知らずや
同じ枝に鳴いていたほととぎすだよ。声は変わらないものと知らないのですか。
(私と故宮は、同じ母を持つ兄弟です。あなたを思う心は兄宮と同じであるとおわかりにならないのですか。)

と書かせ給ひて、給ふとて、
とお書きになって、(童に)お与えになるといって、

「かかること、ゆめ人に言ふな。
「このようなことを、決して人に言うな。

すきがましきやうなり。」とて、入らせ給ひぬ。
好色めいているようだ。」と言って、(邸の奥へ)お入りになった。

※ 品詞分解はこちら
和泉式部日記「夢よりもはかなき世の中」

 

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