アキレスと亀

こんにちは。KECの塾・予備校部門,高槻本校の数学・理科担当の川渕です。
夏期集中講座も終了し,9月7日(水)から,いよいよ本科授業を再開します。
いろいろ準備が大変でしたが,なんとか間に合いそうです。

ところで,紀元前のギリシャの哲学者ゼノンが唱えた有名な逆説「アキレスと亀」をご存じでしょうか。
アキレスとは,アキレス腱でおなじみ(?)のギリシャ神話に登場する英雄で,とても足が速かったそうです。
そんな俊足のアキレスが,前方にいる鈍足のカメを追いかけます。
ふつうに考えればアキレスがカメを追い越しそうなものですが,ゼノンはこう言います。

アキレスがはじめに亀のいたところに追いついたときには,亀はわずかに前進している。
ふたたびアキレスが追いかけて亀がいたところに追いついたときには,さらに亀はわずかに前進している。
これを繰り返すかぎり,アキレスは亀に追いつくことはできない。

こう言われると,なんだか,追い越せない気がしてきますが・・・
もちろん,そんなことはありません。
アキレスは亀を追い越すはずなので,ゼノンの逆説,なにかがおかしいです。
どこがおかしいか,わかりますか?

ということで,ゼノンの説明をScratchで再現してみました。
アキレス役を猫,亀役を怪しいUFOが担っています。
2人の間は,はじめ,距離L離れているとします。
アキレス(猫)の速さが亀(UFO)の2倍の時,アキレスが2L進めば亀に追いつくはずなのですが・・・


 
2人の距離は徐々に狭まってくるのですが,アキレス(猫)は追いつけません。
動画では8回でやめましたが,この追いかけっこは「無限」に繰り返されます。
「無限」といわれると永遠に追いつけなさそうな気にさせられるのが,この逆説の難しいところ。
無限に繰り返されますが,アキレス(猫)と亀(UFO)の進んだ距離の和や時間の和は,有限の値に収束します。
この場合,アキレス(猫)が進んだ距離の和は2Lになり,亀(UFO)の進んだ距離の和はLになるので,無事,アキレスは追いつきます。
無限にある数の和が有限になるのは不思議な気がしますが,これは,数IIIで習う無限等比級数で計算ができます。
結局,ゼノンの逆説は,アキレス(猫)が亀(UFO)に追いつくまでの様子を説明しているのでした。

高校2年生の皆さんは,数IIの終盤で微分・積分を習います。
ここで本格的に無限の取り扱いが始まります。
さらに数IIIでも微分・積分を習います。
大学でも理工系や経済系などでは,やっぱり微分・積分を習います。
人体でいえばアキレス腱なみに大事な微分・積分。
しっかり学んでおきたい皆さんは,この機会に,ぜひKEC高槻本校までお問い合わせください。

■合格体験談・総集編はこちら

■KEC高槻本校公式サイトはこちら