国語ができる子どもを育てるために④

みなさん、こんにちは。大和田本校の小林です。
前回更新から時間が空いてしまいました。申し訳ありません。
毎週日曜日に更新をと思っていたのですが、今来月、2ヶ月に渡り日曜日にスペシャル授業をすることになり、ブログの方がおざなりになってしまいました(汗)。

さて、続きです。
前回は「読解の(あるいは国語の)2つの基礎体力」というところまで話が進んでおりました。
今回は読解の(国語の)基礎体力のお話の一つ目です。

小中高校生を問わず、国語が苦手な生徒さんは「この文章、何が書いてあるのか分からへん」といいます。

課題文は作者が考え、選び抜いた「言葉」が紡がれて書かれています。そこから筆者の主張を読み取っていきます。

国語の苦手な子たちは、ここで躓きます。

「主張を読み取れ言われても、そんなん以前に分からん言葉がいっぱいある……

今の子どもたちは圧倒的語彙不足に陥っています。
読書の(あるいは国語の)基礎体力の1つはこの語彙を指します。

活字に触れれば触れるほど、知らない言葉に出会います。
昭和生まれの小林には羨ましい限りですが、今の子どもたちはスマートフォンなりタブレットなりですぐにたいていのことは調べられます(メディアリテラシーについてはここでは措いておきます)。

本を読み、知らない言葉に出会ったらすぐ調べる。
紙辞書を使ってほしいと昭和人の小林は思いますが、それはそれ。
この際そこは大目に見ます。

そうして一つ一つ言葉に出会っていくこと。
この積み重ねが将来の国語力となっていきます。

この語彙の学習ですが一つ、あまり気づかれていない大切なポイントがあります。
それは、その語彙を使って簡単な短文を作ることができるかです。

一つ例を出してみます。
暇(いとま)」を辞書で引くと下記のような意味が出てきます。
1 用事のない時間。ひま。「休む―もない」
2 一時的に休むこと。休暇。「三日ほどのお―を乞う」
3 職務を離れること。辞職。また、解雇。ひま。「雇い主に―を願い出る」
4 離縁。離婚。「妻に―を出す」
5 (多く「おいとまする」の形で用いる)別れて去ること。また、そのあいさつ。辞去。「―を告げる」「そろそろお―しよう」
6 喪に服すること。またそのために出仕しない期間。
「御―になり給ひぬれば、藤壺も夜さり罷 (まか) で給ひ」〈宇津保・国譲上〉
7 ある物事をするのに空けることのできる時間。
「仮名文見給ふるは目の―いりて」〈源・若菜上〉
8 すきま。ひま。
「谷風の吹き上げにたてる玉柳枝の―も見えぬ春かな」〈夫木・三〉

こんなものを覚えようとしたら大変なことになります。
また、伝統的な学習方法では意味をノートに写すということになるでしょうが、それは時間の無駄というものです。

そうではなくて、この「暇」という語を使って簡単な短文を作れるようにする

「ちょっとそれをしているはないなぁ」

意外かもしれませんが、この程度で構いません。
逆にこれ以上高度なものを造ろうとすると、必ず挫折します。
小林は指導する際、言葉の意味ももちろん伝えますが、この簡単な短文を個々人に作らせます。

「忙しくて宿題をするいとまがなかった」(ウソつけ!その暇はあるワイ(笑)!)
「あっ、先生俺も俺も(笑)‼」(せやからウソつけ(笑)‼)
「先生、『おいとまする』はOK?」(おお、それめっちゃええやん♪!)

要は意味を覚えていることが大事なのではなく、使用語彙にまでもっていくことが大切です
仕えない語彙を身に着けていても役に立ちません。日常に使える語彙にすることが大切です。

ほかにも使用語彙を増やす方法があるのですが、それはまた後日に。

とりあえず今日の所は「使える語彙を増やす」。
これが読解の(国語の)基礎体力の重要な要素というところで話を終えたいと思います。

次回、もう一つの基礎体力とは。

国語ができる子どもを育てるために③ どんな本を読ませるべきか。

みなさん、こんにちは。大和田本校の小林です。
さて、前回の続きです。

「子どもにどんな本を読ませたらいいですか。」

こう聞かれる親御さんも多いですね。
小林の答えはいたってシンプルです。

答えは「何でもいい」です。

こう答えると親御さんたちは肩透かしにあったような反応をなされます。
きっと次のような、受験的解答を期待されているのだと思います。

「受験頻出作家の内田樹鷲田清一外山滋比古池内了といった方々の、特に新書を読めば、受験に問われる文章レベルに慣れることができ、かつ読んだことがある文章に出会う可能性が上がります。例えば内田樹なら『日本辺境論』、鷲田清一なら『わかりやすいはわかりにくい?』、外山滋比古なら『知的創造のヒント』、池内了なら『疑似科学入門』などは受験に頻出です。」(仮想的な発話ということで敬称を略しています)

こう発言すれば、「じゃあ、それらを読ませよう」となるのだと思います。
もちろん、上記はどれも読むに値する、滋味深い書籍です。読めば確実に教養が身に付きます。
ですが、「受験に出るから読む」「受験レベルだから読む」となってしまうと、読書の本質はそこではないんですね。

読みたいものは何でも手当たり次第に読めばいい。いわば乱読の勧めです。
そのためには「積読(ツンドク)」も厭わない(この「積読」が京大の英作文に出題されましたね)。読みたい本がアレコレとあって、あれもこれもと買っていったらいつの間にか読み切れていないものが「積読」になった。
もちろん程度の問題はありますが、小林はコレを悪いことだとは思いません。なぜなら乱読の為の「積読」なのですから。

ここでのポイントは乱読です。
なるべく一つのジャンルに絞らない。様々なジャンルの本を手当たり次第に読むのがいいと思います。

いろんな本を読むことは、読解の(あるいは国語の)2つの基礎体力を作ってくれます。この2つの基礎体力というのがポイントです。

2つの基礎体力?
次回はこの基礎体力についてお話ししたいと思います。

国語ができる子どもを育てるために② 大人の覚悟

みなさん、こんにちは。大和田本校の小林です。
さて、昨日の続きです。
保護者様と面談させていただいて、よくいただく質問の一つに、読書に関するものがあります。

先生、やっぱり本を読ませないとダメですか。
先生、うちの子全く本、読まへんのです。
うちの子、全然本を読まんから国語アカンのですわ。

本を読むのか読まないのか

この二者択一なら、当然読むほうがいい。それは間違いありません。
ただし、ここで親の(あるいは大人の)覚悟が必要となります。

「本を読みなさい」と言っている当の親(大人)自身が本を読んでいるか。

自分が読んでいないのに子どもに「読め」というのは虫が良すぎます。

もしこのブログをお読みいただいている方が、小さいお子さんをお持ちなら、ぜひお子さんと一緒に読書をしてあげてください。

「パパもママもいつもご本を読んでるけど、ご本を読むのは楽しいの?」
「楽しいよ。じゃあいっしょにご本を読みましょうか。」

「大人は忙しいからそんな時間はない」というのは言い訳です。
子どもだって学校にクラブに塾に、それぞれの宿題に、その他習い事に……、と忙しいのです。
大人が言い訳をするのなら、子どもの言い訳も認めなければフェアじゃありません。

親が読書する姿を見せること。これが、子どもが読書をするきっかけとなります。

「偉そうなことを言いやがって。じゃあお前は読んでいるのか。

居丈高に言うつもりはないのですが、こう思われている保護者様もおられるでしょう(ごめんなさい)。結論を言うと読んでます。

小林は往復の通勤時間を含めると半日以上を仕事に取られます。帰宅は夜12時前。その後、自身が入浴し、家族のお弁当と朝食作って……、などを終えると大体深夜2~3時(小林は主夫でもあります)。それから読書。朝10時に起きて洗い物等をして出勤しますから、読書タイムを取ることは厳しい。ですが、教えるものが学べ。教師が学びをやめるわけにはいきません。(今月だけでも、小林が読んだ(でいる)本のジャンルを列挙すると、哲学、社会学、宗教学、詩集、ビジネス書、古典、歴史、英語関係となります)。

忙しくても時間のやりくりをして何とか活字に触れる。
忙しい大人だからこその覚悟が問われますね。

次回はどんな本を読むとよいのかについてお話しします。

国語ができる子を育てるために①

みなさん、こんにちは。大和田本校の小林です。
さて、先日ヤフーニュースでショック(?)なものがありました。

 新聞や教科書などを読み取る基礎的な読解力を身に付けられないまま中学を卒業する生徒が25%にのぼることが、国立情報学研究所(東京都)・新井紀子教授らの研究チームの初調査で明らかになった。

正直「何をいまさら」と思いました。
現場に立って約20年になりますが、子どもたちの読解力の低下は身に染みて感じておりますから。

今の子はこの程度の文章すら読めない

と嘆くことは簡単です。
見放し、突き放すことも簡単です。
あるいは馬鹿にしたり「この程度のこともできんのか!」と怒ったりすることも簡単でしょう。

ですが、それではその子は救われない。
そういった子を何とかすることが我々の仕事でもあります。

これから数回にわたって、普段と違い、我が子に国語力をつけさせたいと思っている親御さんへの小林なりのメッセージをお伝えしたいと思います。親御さんへのメッセージですからいつもの問題はお休みです。かつ、ある程度大人向けの文章になることをご了承ください。