こんにちは。塾予備校部門枚方本校の福山です。
源氏物語『光る君の誕生』の口語訳&品詞分解、後半です。
中高生の皆さん、引き続きテスト勉強頑張ってくださいね!
✿ 本文:太字、現代語訳:赤字 ✿
源氏物語『光る君の誕生』(後半)
前の世にも、御契りや深かりけむ、
前世においても、ご宿縁が深かったのだろうか、
世になく清らなる玉の男皇子さへ生まれ給ひぬ。
世にまたとなく清らかで美しい玉のような皇子までもお生まれになった。
いつしかと心もとながらせ給ひて、
(帝は)早く見たいと待ち遠しくお思いになって、
急ぎ参らせて御覧ずるに、めづらかなるちごの御かたちなり。
(その若君を)急ぎ参内させて御覧になると、世にもすぐれた幼子のお顔立ちである。
一の皇子は、右大臣の女御の御腹にて、
第一皇子は、右大臣の(姫君である)女御の御腹(より生まれた皇子)であって、
よせ重く、疑ひなきまうけの君と、
後見がしっかりし、疑いない皇太子(になられるお方)として、
世にもてかしづき聞こゆれど、
世間でも大切にお仕え申し上げているが、
この御にほひには並び給ふべくもあらざりければ、
第二皇子の照り映えるお美しさにはお並びになりようもなかったので、
おほかたのやむごとなき御思ひにて、
(帝は第一皇子に対しては)並ひととおりの大切なお方といったご寵愛であって、
この君をば、私物に思ほしかしづき給ふこと限りなし。
この君を、かわいい秘蔵っ子とお思いになり大切にお世話なさることはこのうえない。
初めよりおしなべての上宮仕へし給ふべききはにはあらざりき。
もともと(更衣は)普通一般の天皇のそば仕えをなさるはずの身分ではなかった。
おぼえいとやむごとなく、上衆めかしけれど、
世間での評価もたいへん重々しく、高貴な人らしく見えるが、
わりなくまつはさせ給ふあまりに、
(帝が)むやみに近くにおつきまとわせなさるあまりに、
さるべき御遊びの折々、何事にもゆゑあることのふしぶしには、
しかるべき管弦のお遊びの折々や、何事でも由緒ある行事のふしぶしには、
まづまう上らせ給ふ、あるときには大殿籠り過ぐして、
まっ先に参上させなさる、またあるときにはお寝過ごしになって、
やがて候はせ給ひなど、
そのまま(翌日も)おそばにお仕えさせになるなど、
あながちに御前去らずもてなさせ給ひしほどに、
無理やりにおそばから下がらせないよう待遇なさっていたうちに、
おのづから軽き方にも見えしを、この皇子生まれ給ひてのちは、
自然と身分の軽い人にも見えたのだけれど、この皇子がお生まれになってからは、
いと心ことに思ほしおきてたれば、
たいそう格別に待遇しようとお心づもりなさっていたので、
坊にも、ようせずは、この皇子のゐ給ふべきなめりと、
皇太子にも、悪くすると、この皇子がおつきになりそうに見えると、
一の皇子の女御はおぼし疑へり。
一の皇子の(母である弘佞殿の)女御はお疑いになっていた。
人より先に参り給ひて、
(この女御は)ほかの方より先に入内なさって、
やむごとなき御思ひなべてならず、
(帝の)大切にお思いになるお気持ちは並々でなく、
皇女たちなどもおはしませば、この御方の御いさめをのみぞ、
皇女たちなどもいらっしゃるので、この御方のお諫めだけを、
なほわづらはしう、心苦しう思ひ聞こえさせ給ひける。
やはり気遣いなさり、気の毒なことともお思い申し上げていらっしゃった。
かしこき御かげをば頼み聞こえながら、
(更衣は帝の)恐れ多いご庇護を頼り申し上げるのだけれど、
おとしめ、疵を求め給ふ人は多く、
(一方では)さげすみ、欠点をお探しになる人は多く、
わが身はか弱くものはかなきありさまにて、
自分の身はか弱くはかない様子であって、
なかなかなるもの思ひをぞし給ふ。
かえって(ご寵愛がなかったらよかったのに)という思い悩みをなさる。
御局は桐壺なり。
(その更衣の)お部屋は桐壺である。
※ 品詞分解はこちら
→源氏物語『光る君の誕生』
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